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小箱の小話
東方二次小説が多目。 エログロ、ホラーミステリ洗脳色仕掛け等。
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怪異目玉お姉さんの恐怖
「あーあつまんないなー」
 そう言って少年は道端の石を蹴った。
 彼は多感な思春期の真っ最中であった。他者と自分の関わりを認識する期間。そして優越感や劣等感、恋に悩み人生に悩み様々な感情に思いを走らせる時期である。
「えーた君はクラスで一番足が速いしスポーツ万能でモテモテ。たかし君は頭がよくてテストでいっつも100点だしおまけにリーダーシップもあってみんなから慕われている。みきお君は手先が器用だし絵がうまいし。みんなそれぞれ注目されてるし。でも僕は何にもないなー。どうしてかなー。何でかなー。もっと注目されたいなー」
 少年はそう独り言を空気に向かって言った。彼は単純に賞賛されたかった。そして女の子にもてたかった。ただそれに値する能力がそぐわないことに、彼は悲しみを感じていた。容姿でも頭脳でもスポーツでも何でもいい。とにかく彼は注目されたかったのである。
「僕はこんな顔だしチビだし何か努力するのも時間がかかるし……。ああ今すぐに注目されたい。一番になりたい。それには即効性のある何か……接着剤で一瞬で固まるぐらいの早さが必要かしらん」
 少年は頭をふりしぼってうんうんと考えた。しかしいくら考えても出てくるのは無理難題と膨大な時間がかかる代物ばかり。少年はこの年でも重々しい絶望にとらわれてしまった。
「ああー駄目だ駄目だ。僕はもう終わりじゃないか。ああー神様は何で一物も与えてくれなかったんだろう。このままあそこの石みたいに蹴られて頭をぶつけて死んでしまう運命なんだーあああーん」
 脳内に黒い影のようなものが横切った。未来に対する負の展望が、彼を覆い尽くそうとしていた。そして負の要素から生まれるのは同じく負の要素である。負の思考はよくできているもので、次から次へと連鎖するものである。
「ん、そうだ。僕がそこの駄菓子屋でちょいとお菓子をくすねてやれば、そうすれば悪名とどろき悪事千里を走る。これで僕は一大ヒーロー……なわけないじゃん。もうっ!」
 と言って少年は大きめの石を足で蹴っ飛ばした。
「ふふん。いくら僕だって損得勘定はできらい。僕はまだ子供だけどリスクリターン期待値っていう経済の概念を熟知しているんだからね。そうそう、他のくだらないお遊びに呆けているやつらなんかより、ずっと崇高で気高い思想を持ってるんだ。今に見てろよ。あいつら僕を馬鹿にして……くそぅ、思い出しただけでもむかむかしてくるーうううー。ぶつぶつ……」
 終わらない独り言は彼の専売特許であった。誰に聞かせるまでもない自分のためのストレス解消法である。
「何か習いごとでもしてみたらいいかなぁ? 習字そろばんピアノにダンスにスイミングスクール。いやいや、こんなのみんながやってるじゃないか。僕、普通のことをするのって嫌いなんだよね。アウトローが好き。でも決してそれは不良とかそういうんじゃないんだよね。もっと素晴らしい……そう正義のヒーローみたいな……崇められる……唯一伸……ぐふふ……」
 少年の顔がぐにゃりと歪んだ。顔の筋肉が緩み気持ち悪い笑顔を浮かべる。
「そう、神様なんていいかもしれない。習いごとは神様修行。あーあ……誰か僕に親切に教えてくれないか……きゃっ!」
 前を向かずによそ見ばかりしていたので、少年は前から来る存在に気づかなかった。後ろにはね飛ばされてしたたか腰を打ちつけた。
「あいたたた。何だようもう。僕がせっかく素敵な空想に浸ってたっていうのに」
 少年は自分の積み上げた空想のお城が崩されて、怒りに我を忘れた。謝るよりも攻撃的な言葉が先に出てしまった。
「う、うう。ああ……」
 か細い女性らしき声が聞こえた。ここでようやく、少年は我にかえって状況の理解に努めた。
「あの……大丈夫ですか?」
 おずおずとそうたずねた。小柄な女性だった。細い体を横に倒している。日の光を照らして、スカートから白い足がのぞいていた。
「ん……あん」
「ああ、あのぉ」
 女性は喉奥から苦しそうな声を出した。少年はごくりとつばを飲んだ。罪悪感と共に煮えたぎるような不思議な感情が腹の底から湧いてきたからだ。しかしぼうっとしている暇はなかった。とにかく直ぐに抱き起こそうと思った。
「おおお姉さんごめんなさい僕。僕が前を向いていなかったから。ああどうやっておわびをすればいいか」
 少年はあわてふためきながらそっと肩を起こした。空気のように軽い体がふわりと持ち上がった。
「あら、ありがとうございます。うふふ。いえいえ、私の方が悪かったのです」
「そ、そう? よかったぁー」
 元気そうな声を聞いてほっとした。少し心を落ち着けて女性の容姿を観察してみた。
 体格は自分と同じぐらいか、それよりも更にひと周り小さいぐらいであった。日本人ではないと思った。何故なら髪の毛が綺麗なピンク色だったのだから。それも緩いくせっ毛で、人工的に染めた感じは全くしなかった。肌は雪女のように白かった。憂いを帯びたような赤い瞳が印象的だった。目を細められて下から見あげられたので、ドキッとして目を逸らした。本当はもっと見つめていたかった。
 少年は先ほど何故かお姉さんと言ってしまった。何故そう言ったのかはわからない。見た目は少女としか思えないのに、どうしてか自分の母親以上の年齢に思えた。それなのに人智を超えたような美しさを兼ね備えていたのだ。少年はたちまちこの美貌の少女の虜になった。
 再び顔を見下ろすと、ありったけの妖艶な笑みでくるみこまれた。細い喉がびくんと動くのも見えた。小さな唇が開く瞬間、火のように赤い舌が見え隠れした。すっと筆で撫ぜたような眉がぴくりと動いた。今度は顔を横にして流し目の直撃を受けた。
「ああ……お姉さん」
「どうしたの? 坊や? そんなにぼーっとして……うふふ」
 坊やと呼ばれたことが、更に少年の心をときめかせた。やっぱり僕の直感は間違っていなかった。お姉さんでよかったと思った。
「お姉さんとっても美人さんだね!」
 そのように口をついで言葉が出た。
「そうありがとう。うふふ……」
「えへへ……」
 お姉さんはにっこりとして起き上がった。ぱんぱんと服のほこりを落とす様子、その仕草にも少年は魅入られてしまった。前触れなくスカートの裾がひらりとめくりあがり、少年の心を甘く酔わせた。幸せに似た不思議な気持ちになってたまらなかった。少年はお姉さんにずっとそばにいて見つめられたいと思った。
「ところで……」
「何? お姉さん?」
 少年は喜びを体全体で表現して答えた。
「坊やは注目されたいの?」
「ええっ。何で僕の考えてることわかるの?」
「ううん。坊やが大声で騒ぎながら歩いているの、お姉さん聞いてたのよ」
「えー。僕そんな大声出してないし……お姉さんの気配も感じなかったし……」
 少年は心に不可解な疑念を感じてしまった。それはこのお姉さんの奇妙な容姿と合わせて、拭いきれないわだかまりへと昇華していった。もしかしたらお姉さんは、人間を騙して、ぱくりと食べてしまう妖怪の類じゃないかしらんと、本気で思ってしまった。
「んふふ。細かいことはどうだっていいと思わない? 注目――されたいんでしょ? 坊や?」
「あ……でも」
 何か言おうと思ったが言葉にはならなかった。お姉さんの目の奥の暗がりがぎゅっと広がって誘い込まれそうになった。少年は今見つめられて注目されていた。それも妖精とも天使とも思えるような優しいお姉さんに。
 心臓の鼓動がごんごんと早くなり呼吸も苦しくなった。目を逸らそうとすると、にやりと口角をあげてまた笑われた。澄み切った目も笑っていた。全てを見通すような目で凝視された。
「ああ……」
 少年は嘆息した。魔に取り付かれたかのように足がすくんで動けなかった。
「ん……」
 気づけばお姉さんの小さな顔が、数センチの所まで近づいていた。ちょっと口を開けば、危うくキスをしてしまいそうだった。はぁと湿った吐息がふりかかる。その湿り気にもとろんと誘惑されてしまった。目の奥の暗がりが更に広がった。よく目を凝らしてみると目の中にもまた目があった。万華鏡のようにそれはぐるぐると回り、少年は頭がおかしくなってしまった。もっとお姉さんに注目されてしまいたい。ああお姉さんお姉さん。 
「んふっ」
「お姉さん、ぼくぅ……」
 耐えがたき未知の誘いに弄ばれた。今少年の心を占めるのは、目の前の女神への屈折した愛情だけだった。股間にビリビリと電気のような痛みが走り、前かがみになってやっと体勢を保った。
「ウチ来る? とっても楽しいわよ?」
「はぁぁ……。はい」
 少年の頭の中に肯定以外の文字はなかった。
「じゃあ目をつぶって」
「はい」
「いい子ね。じゃお姉さんと手をつないでじっとしているのよ」
 小犬のように従順になりぎゅっと手をつないだ。お姉さんの手はひんやりとして冷たくて体温を奪われてしまった。こんなにも冷たい手の人を少年は知らなかった。目は言われたとおりにずっとつぶっていた。真っ暗な闇の中を右も左もわからないまま歩いた。少しも怖くはなかった。そばにはお姉さんがいた。お姉さんのぞっとするほどの凍てつく体温を感じていたから。




「ついたわよ。目を開けて坊や」
 必死で目をつぶりながら歩いていた。数十歩だったのかもしれないし、数十キロを走破したのかもしれない。時間の概念が著しく喪失してしまっていた。
「はぁはぁ」
 少年は荒く息を吐いた。
「疲れちゃった? でも大丈夫。すぐに休ませてあげるわ」
 お姉さんが指をさした。その先にはアラビアの宮殿のような豪華な建物がでんと待ち構えていた。
「ここは地霊殿。長い旅路の終着点。もとい、始まり」
「え? ちれい……でん?」
「わからなくてもいいわ。さぁ入りましょう」
 促されて、少年は扉の奥にふらりと滑り込んだ。お姉さんが後ろから背中に胸を押付けてきた。柔らかい、暖かみのある二つの幻想的なふくらみが、少年の心に無造作に刷り込まれた。


 宮殿の中はとてつもなく広かった。教会でよく見かけるような、ステンドグラスの光が目に刺さって痛かった。何をモチーフとしているかはわからなかったが、辛うじて火のついた車輪や大きな鳥のイメージが伝わってきた。抱きすくめられたまま、お姉さんの誘導で一つの部屋に入った。
「ここは……」
 和室だった。六畳一間のしんみりとした空間で、水墨画が描かれた襖が周囲を占めていた。畳から漂うい草の香りが、すうっと鼻腔から脳内を巡り、また口から魂として吐き出た。
 部屋の中央には、一つの布団がしいてあった。少年はその意味を理解することはできなかった。
「うふっ。坊や。それじゃ始めましょうか?」
「始めるって……何を?」
「ふふっ、お楽しみっ」
「あっ」
 次の瞬間、少年はお姉さんに押し倒されていた。そしてずるずると布団の中へと引きずり込まれる。
「やっ、やめてください。僕は……」
「注目されたいんでしょ? じっとしてなさい」
「でも……」
「いいから」
 お姉さんのろう人形のような精巧な顔面が視界を覆った。少年は唇を奪われて舌を優しく吸われた。二人とも目は開けたままだった。細まったお姉さんの目が更に糸のように細くなった。
「ん? んんっうう!」
「んっ、んん……ちゅ」
「んん! む……」
 抵抗はしてみたものの、数秒でたやすく陥落してしまった。細い手足が器用に絡みつき、白い清潔な毛布の奥に閉じ込められてしまう。
「ふふっ、ふふふっ」
「あっ、ああっ」
 お姉さんの声だけが布団の中で反響する。出口も塞がれた閉塞状態の中で、少年は恐怖に近い恍惚状態に陥った。すべすべの手が体中を這い回る。一枚、また一枚と体を覆う陳腐な布が剥がされていく。お姉さんも布団の中で踊るようにしながら次々と服を脱いでいく。いつしか二人は生まれたままの姿で抱き合っていた。
「ああ……」
「どう? 気持ちいいでしょ? もっとよくしてあげるわ」
 その声自体も心地よかった。狭苦しい布団の中でお姉さんの顔が目前に迫った。息苦しさと恥ずかしさと奇妙な快感の中で、少年は未知の遊覧飛行へと旅立っていた。
「んふっ、んふ、んふふ」
 お姉さんは笑いながら顔にキスの雨を降らせてきた。赤い唇が吸盤のように吸い付き甘い疼きを送ってくる。それは時には痛いと思えるほど――だがその痛みもいつしか快楽へと変化していった。
「お姉さん……お姉さんっ……!」
 少年は完全に魅了されて虜にされた。キスをされるたびに、心の小箱から大切に閉まっておいたものを一つづつ奪われた。抵抗しようもない実に巧妙な手段で、少年の心の門は篭絡されてしまったのだ。
「あらお姉さんの舌吸いたいの? 積極的なのね」
「あっ、あっ」
 自分からも求めたくなってしまった。口をあんと開けてめいいっぱい舌を伸ばしてみる。お姉さんは意地悪をするように顔を少し引いた。あごの先にぺたりと張り付くほどお姉さんの舌は長かった。少年はその舌先に目掛けて舌を伸ばした。
「ほらもう少しよ。あーんれーろっ」
「あっ……ああ」
 頭を起こそうとしても、肩はがっちりお姉さんに押さえられていたのでどうにもならなかった。蛇のような舌がゆらりと揺れて、少年の目の前に垂れ下がった。透明な蜜のような唾液が、つうっと一筋上から滴り落ち少年の頬を濡らした。
「んっ、ああっ、あの」
「なぁに?」
「僕の……その……口に……」
「欲しいの?」
「……はい」
 少年はおねだりをしてみた。お姉さんの唾液はきっと甘い味がすると思った。
「坊やは欲しがり屋さんなのね。駄目よそういうのふふっ。それが許されるのは可愛い子供だけ」
「ぼ、僕まだ子供だよう」
 猫のように甘えた声を出した。
「そう、まぁいいわ。でも、ここの方が美味しいわよ?」
 そう言ってお姉さんは体を起こした。光の届かない暗闇に一瞬にして明かりが行き渡る。同時にお姉さんの白い体もまばゆいばかりの輝きを解き放っていた。少年はまたその肢体に吸い込まれた。
「おっぱい……吸う?」
「は、はい!」
 お姉さんは柔らかそうな肉を寄せて谷間を作った。途端に少年の網膜に薄い膜のような物がぺたっと貼りついた。もう少年は物事の本質を見ることはできなかった。淫靡な肉に幻惑されて、自らエサとなる運命を享受していた。
「ふぅん……」
 目の前で乳首が転がされた。丸くてつるんとした指先でぎゅっと引き絞る。先からは白濁したミルクが湧き出しているようだった。
「お、お姉さん」
「いいのよ。いらっしゃい」
 少年の頭を白い腕が抱き寄せてきた。母親が授乳するような格好で、柔らかい乳房を押付けられてしまう。
「んふ。どう? おっぱい?」
「すごい……ああ」
 蕩けるような心地がした。優しい揺り籠のような谷間で、羊水に浸る胎児の姿を幻視した。手足も折りたたんで、そのまま深い湖の底へと沈んでしまいたかった。
「さぁ吸いなさい」
 甘たるい聖母のような声が脳内に染み渡った。少年は乳首に口をつけて吸い付こうとする。が、しかし――。
「あれ?」
「どうしたの?」
 少年は名状しがたい違和感を感じて頭を後ろに引いた。何かがおかしかった。尖った乳首の先、しかしそのつぼみは通常のそれとは違っていた。それも少々ではなく甚大に。少年は少し頭が晴れやかになった。闇夜から月明かりが覗くようにはっと冴え渡る。
「あら気づいちゃった? ふふっ」
 お姉さんの乳首は目玉だった。嘘でもまやかしでもなく、二つの目玉がむき出しのままひっついていたのだ。
「これ……お姉さんちょっと……特異体質だから……。坊やこんなお姉さん嫌い? でもおっぱいはちゃんと出るのよ……ほら」
 目玉を指ですりつぶすと、白っぽい飛沫が少年の顔を濡らした。予想通り甘い匂いがした。どうして目玉からお乳が出るんだろう? いや、それより、乳首が、目玉、で、おねえさ――
「うふふっ」
 その思考を邪魔するかように、お姉さんが妖しく微笑んだ。と同時に少年は考える力を奪われた。その代わりにもっとお姉さんのそばにいたいという衝動にかられる。
「あっ、はぁはぁ」
 少年の頭の中は酷く混乱してしまった。恐怖と快感にごちゃまぜになり至極奇怪な色彩を作り出した。
「うふん。坊やの考えていることはよくわかるわ。普通の人間は目が二つ。四つの人間なんてありえない。しかも乳首が目玉なんてね。怖い? 逃げてもいいのよ坊や。でも……坊やがそばにいてくれないなんてお姉さん寂しいな。お姉さんこのせいでいじめられたの……目が他の人よりちょっと多いだけなのに……」
 と言ってお姉さんはしおらしげに目を伏せた。嗚咽しながら泣くような様子がたまらなくいとおしいと思った。肩やお尻がぷるぷると寒そうに震えていた。少年はその姿に引きこまれた。乳首からも悲しそうに白い涙が流れ落ちていた。
「お、お姉さん……僕は……好きだよ」
 何者かに思考中枢を支配される心地がした。カンカンと警鐘が鳴っているような気がしたが、すすり泣くような声がそれを打ち消した。
「あらありがとう。……嘘じゃない?」
「う、嘘じゃないよ」
「本当に?」
「本当だよ!」
「本当に本当に? ふふふっ」
「本当だよお姉さん。だい……好き」
 お姉さんは真正面から少年を見据えた。そして今日一番の柔和な笑みでくるみこんだ。
「お姉さんっ……」
 白い谷間に頭から飛び込んだ。優しく頭をなでなでされて抱擁されてしまう。
「いい子ね。これで坊やは四つ目のお姉さんは好きになったわね。うふふ」
「うん、目玉のお姉さん好きぃ」
 そう言って鼻を谷間にこすりつける。花のような甘い匂いと甘酸っぱいような柑橘類の香りを吸い込んだ。しばらく谷間でうとうとしているとお姉さんの手が少年の股間に滑り込んだ。ペニスを上下にすっと撫ぜられる度に、甘美な信号が背骨から脳髄を伝わって全身に痺れと疼きを送った。
「ふぁぁ……。何これぇ……」
「いいのよ。お姉さんに任せて? 私に全てを委ねちゃいなさい……」
「んぁ、何かくるぅ……」
「んふっ」
 何かがはじけそうな瞬間、手の蠢きがぴたりと止まった。
「あっ、ああああっ」
「だーめっ。もっと楽しんでから」
「そ、そんな。僕もう我慢できない」
「ふふっ。これからもっと楽しいことしてから……ね?」
「はぁぁ……」
 少年は寸止めされて悶絶してしまった。しかしこうやって体をつき合わせているだけで爆発しそうであった。少年はお姉さんの白いふとももに幼いペニスを擦り付けようと試みた。肉と肉とが擦れあうとまた高まった感情が戻ってきた。
「あん、また。お姉さんのふとももいい!」
「あらあら……自分から擦り付けて……いけない子」
 なじるような声も快感を後押しした。少年は一心不乱に腰を振り続けた。しかしまた違和感を感じ取った。お姉さんの太ももに何かぬるりとした感触を感じてしまったのだ。すべすべの肌とは明らかに異質な感覚がペニスを襲う。少年は不思議に思い視線を下に向けた。
「あっ……」
 次の瞬間、少年は計り知れない恐怖にとらわれてしまった。真っ白な地肌の中に、なんと目玉がはまりこんでいたのだった。それは作り物とは思えないほど精巧で、白い足の中にしっかりと調和していた。今まで気づかなかったのか最初からあったのか。どちらにしろお姉さんの目は四つだけではなかった。
「ふふ。また見つかっちゃったわね。お姉さんちょっと体に目が多い体質なのよ……。本当に嫌になっちゃうわ」
 そんな体質はない。頭ではわかりきっていた。それなのに体が動かなかった。声帯を揺らして大声を出して一目散に逃げることもできなかった。恐ろしいことに、少年は前より目玉のお姉さんの魅力に引きこまれていた。ペニスを押す目玉の感触、そしてその目がにやけた瞬間を少年はじっくり見てしまった。
「ここにもあるのよ、ほら」
 お姉さんは何も言えない少年を無視して、自分の体を指さした。へそ、膝小僧、そしてお尻にも目はあった。太ももと合わせて四つ。顔と乳首と合わせると全部八つにもなる。人間じゃない。妖怪だと思った。逃げなきゃ、早く早く。でも……。
「うふん、あはん」
 目の前で悩ましげなポーズをとられる。ほどよく肉の乗った餅のようなお尻がたぷんと揺れる。自分の目も鼻も頭も体も全ておかしくなっていた。白い肌の目玉がいっぱいあるお姉さんを美しいと思ってしまった。それはとても危険な錯覚だったがどうしようもなかった。股間の疼きもさっきよりもずっと大きくなっていた。
「ああ、あああ……」
 少年はただうめくしかなかった。左右に揺れ動く衝動の狭間で押しつぶされそうだった。
「んふ。怖がらなくてもいいのよ。坊やは四つ目も綺麗って思ったでしょ? それなら……八つ目もね……うふっ」
「そ、そんな……でもでもぉ」
 泣きそうな声で何かを懇願した。しかしお姉さんが許してくれるはずもなかった。
「うじうじしてる子は嫌いよ? ほらっ」
「ああっ」
 お姉さんがパチリとウインクした。顔と乳首は右目をつぶられた。他はウインクと言えるかどうかはわからない。ただ火花がとびちりそうな魅惑の瞬きが、少年の心を再び甘い蜜の溜まった深い沼の底に陥れた。
「ねぇドキドキしちゃうでしょ? 目が多ければ威力も数倍ってね」
「は、はい……」
 少年は頷かざるを得なかった。そして更なる恐怖におののく。 
「じゃ、八つ目が素敵なら……ふふっ」
 そう言った直後、ポコンという生々しい音と共に、白い肉体に目玉が何の不自然もなく浮き出た。少年は目玉が発現する瞬間を直視してしまった。それは新たな生命の誕生に思えた。恐怖すらも打ち消すような妖美な視線が少年をじっと睨んだ。
「これで十六……。どう坊や? お姉さん……綺麗?」
 少年は何も答えられない。心の中では激しい葛藤が繰り返されていた。増え続ける視線の誘惑に、油汗を流しながら必死で耐えていた。
「注目されたいって言ったわよね? 今その望みをかなえてあげるわ。ほら、三十二」
 抑揚のないお姉さんの声が響いた。ポコンポコンと一度に奇怪なメロディーが奏でられる。額に頬に首に胸に腹に腕に足に、丸い目玉が次々と発現されていく。大小様々な瞳は一つ一つ個性が窺えた。しかし元から存在する両眼の妖しい輝きは全て兼ね備えていた。
 瞬きが星のようにパチパチと繰り返される。それぞれが意思を持っていて少年を誘っているように思えた。目がにやりと笑っていた。眉もないのに筋肉も定かではないのに。ポコンポコン。おいで坊や。もっと見つめてあげる愛してあげる。うふふ。ああお姉さんお姉さん。ポコンポコンポコンポコン……。
「……くにじゅうはーち。……くすっ」
 はっと気づくとお姉さんの目玉の数が異様に増えていた。もはや人ではなかった。普通の状態ならば、決して色欲に惑わされる存在ではなかったはずだった。ただし少年は段階を踏んでいた。唇を吸われ優しく抱きしめられ、服従の魔法をかけられていた。百以上の目はせわしく蠢き少年の一挙一動を見定めようとしていた。
「はぁっ、はぁはぁはぁ」
 少年は迷った。世界を揺るがす巨大な天秤が揺れていた。お姉さんがおいでというふうに手を振っていた。もちろん手のひらにも目がある。親指にも人差し指にも。
 少年は一歩踏み出した。そして――


※ 分岐あり


「うわあああああっ!」
 天秤の針は拒絶の方へと大きく触れた。少年は天を揺るがすような大声をあげて、脱兎のごとく駆け出した。
「たっ、助けて誰か」
 襖をぶちやぶって外へと舞い出た。わき目も振らずに走り抜ける。状況の確認は後回しである。今はいち早くあの目玉の化け物から逃げださなければならない。
「あらもう坊やったら……恥ずかしがり屋さんなの?」
「ひぃぃぃいっ!」
 後ろからねっとりとした声が聞こえたが振り返らなかった。ちょっとでも気を緩めれば、再び取り込まれてしまうに違いなかった。
 少年はあてもなくただただ走った。どこを走っているのかもわからない、不思議な空間が広がっていた。両脇は白い障子戸で仕切られていて、板目の床が永遠と思えるほど続いていた。少年は奥へ奥へ行かなければと思った。とにかく化け物を振り切ろうと走り続けた。
「はぁはぁ、はーあ……。も、もう随分離したかなぁ。どれ……」
 様子を確認しようと後ろを振り返った。しかし少年はこれを重大な選択ミスだと知ることになる。
「まーちーなーさーいーよー」
 化け物が、白い目玉だらけの女が数メートル後ろまで迫ってきていた。しかも化け物は四つんばいに近い状態で、蛇のようにするすると床を器用に這って追いかけてきているのだ。それも恐ろしいほどのスピードで。目は全て充血し舌はだらりと垂れ下がり、あり得ないほどの醜悪な容姿の化け物が這いずっていた。少年はどうして自分は足が速くないのだろうと神様を呪った。
「く、くるなぁ!」
 少年は前を向いて必死に走った。全速力で走らなければ直ぐに追いつかれてしまう。
「なーんでよ。私達、あんなに愛し合ったのに……ねぇ? んふっ、んふふふっ」
 くぐもったような笑い声が恐ろしかった。こんな時でも甘く優しいような感じで耳に粘りついてくる。少年はいっそのこと耳をつぶしてしまいたかった。
「……じゅうろーく…………ごひゃくじゅーに…………せんにじゅーよーん……」
 化け物が何かをつぶやいていたが、少年はそれを理解する余裕はなかった。
「逃げろ逃げろ、うわあぁ!」
 少年は一心不乱に走って走って走りまくった。しだいにつぶやくような声はどんどん遠ざかっていく。少年は少し安心した。これであの化け物から逃げおおせると。若干余裕を取り戻して後ろを振り返る。化け物は遠くで白い点のようになっている。まだまだ安心はできないが当分追いつかれる心配はない。
「は、はぁー。これでなんとか……」
 そう一息安堵したのもつかのま、たちまち両脇の障子戸に異変が起こった。全ての障子に針のような小さな穴が無数に開いた。ぷつぷつと空気が抜けるように小さな音をたてている。
 しかし本当に恐ろしいのは次だった。その障子の裏に無数の生命の存在を感じた。くすくすとこちらをあざけ笑うような声がどこかしこから聞こえてくる。少年はその異様な光景におののき立ち止まってしまった。並々ならぬ恐怖に足がすくんで動けなかった。
「ほほほほほ! 見られたいんでしょう? 気持ちよくなりたいんでしょう? 体験させてあげるわよぼーや。この世の極楽を見せてあげるわよほふふーん」
 はっと振り向くと、化け物が猛スピードで距離を詰めていた。しまった、走らなければと思った。恐ろしい、わけがわからない、どうしてこんなことに。少年の頭の中に後悔の念が浮んだ。しかしいつから間違っていたのかわからない。そうだ、あの化け物が悪いんだ。あの、お姉さんの振りをして。僕を、僕を――。
「何人のせいにしてるのよ。坊やはこの期におよんで悪い子ちゃんねぇ。そーれっ、さんまん……にせん……」
 気持ちの悪い声は聞かずに走り去ろうとした。直後、左右の障子がぎちぎちと音をたてて蠢いた。無数に開いた穴――その穴の中から黒目が覗いていた。光を反射しているから目だとはっきりわかった。そしてその目は化け物のそれに酷似していた。
「ひ、ひぇええぇ――」
 目の大群が両脇から押し寄せていた。このままでは障子戸が全部倒れてしまう。早く、早く走らなければ飲み込まれてしまう。でもどこへ? ああ助けて。僕いい子になりますから。少年は誰かに向けて一心に祈った。
「んふふ。今更神頼み? せっかく私が坊やの願いをかなえてやろうと思ったのに。ふふん、手間をかけさせてくれたわね。でももう……クライマックスよ」
 化け物の声が耳元で聞こえた。ぬめっとした舌先がべろりと頬をなでた。
「うわっ! くるなぁ!」
「もーつれないんだから」
 馴れ馴れしい化け物を振り払って、少年は必死で走った。どれだけの距離を走ったのかはわからない。絶対にあるはずの出口めがけて突き進んだ。障子の脈動はしだいに強さを増していった。全ての目がにやにやとこちらを見て笑っていた。おいでおいでと視線で手招きをしてきたので、努めて見ないようにした。
「はぁはぁはぁ。……あっ、玄関だ! これで出られる……」
 終点は思いがけなくやってきた。初めに見たはずの玄関戸が突如現れたからだ。少年はこれで安心とばかりに取っ手に手をかけようとした。
「うわぁ!」
 ガチャンという音がして厚いガラスが床に落ちて割れていた。甘かった。玄関の外にももう既に追っ手が来ていたのだ。体長数メートルもあるような大きな蜘蛛の足がガラスを突き破っていた。蜘蛛の複眼、そしてもう一人濁ったような緑目が悲しそうにこちらを見つめていた。これで終わりだと思った。
「やっとあきらめたようね。さぁお姉さんの愛を教えてあ、げ、る」
 化け物がぴたりと背後についた。濡れそぼった肌がいやらしく張り付く。
「あ……はぁ……」
「お姉さんって呼んでくれないの? 坊や?」
 くそう化け物め。このこの。僕を騙しやがって。こ、こんな目玉の化け物なんかに……目玉なんかに……目……。
「ろーくまーん……」
 お姉さんが数を数えるのを最後まで聞いていた。ぐらりと空間が裂けて目玉が中空に溢れかえった。目の大軍が蛍のように光を発しながらダンスを踊っていた。
 少年は無明の光を体に受けながらまっさかさまに落ちていった。




「はいありがとうねー。それじゃ次の文を……はい! ○○君。読んでください。……ん? 君よ君。どーしたのぼーっとしてて? ほら早く立って読みなさい」
 女教師は一人の生徒を立たせて教科書を読ませようとした。
「先生……今日は勘弁してください」
「何よ君。先生は神様なのよ? 口ごたえしていいと思ってるの? ほら早く立ちなさい。周りのみんなも手伝ってあげましょうねー」
 ざっと教室がざわめいた。少年は初めよりもずっと多くの注目浴びてしまった。
「う、うわぁぁあ」
「あら手でお腹押さえて……何か隠してるのねもう。ほら見せてみなさい。先生怒らないから……え?」
 女教師は目が点になった。少年の隠していたものは男性の硬度を増したアレだったからである。想定外の出来事が思考の空白を作った。
「ひいぃ……。ごめんなさいごめんさい、許して……」
 悲鳴のような黄色い声と、嘲笑と侮蔑が混ざった笑い声が聞こえる。数十の目が一度に少年の秘部を注視した。
 数秒後、腰が二、三度がくがくと揺れ、ズボンに広い染みを作った。
 少年は確実に注目されたのである。



※ 分岐2



「お姉さぁん……好きぃ……」
「んふふ。いらっしゃい坊や」
 少年は未曾有の誘惑に抗えなかった。目玉の魅了は実に深部にまで達している。幾千もの意思を持つ目が少年を凝視していた。白かった肌はもう以前の面影は全くなく、皮膚全てがぼつぼつと目玉に覆われていたのだ。
 ふらふらと千鳥足で転びそうになりながら、少年は目玉の生物の胸元へと飛び込んだ。
「はん、ああん」
「うふん。捕まったわね坊や? どうしてこんなに目玉があるのに惹かれちゃうの?」
「だってだってぇ……お姉さんが……ああ……」
 無限に近い目がにやりと笑う。その圧倒的な魔力に少年の心は取り込まれた。これを跳ね返す術はもうなかった。
「おかしい……おかしいのにこんなの。絶対にお姉さん妖怪なのに……ああ」
「おかしいってわかってるのに駄目なの? そんなに好きなのねぇーえ?」
 お姉さんの責め苛むような言葉が少年を弄んだ。恐怖は無限に近い瞬きの悦楽に飲み込まれた。目玉一つ一つからぬるりと生暖かい涙が滴り落ちる。肌を合わせると自分も全身から涙が出ているように錯覚してしまう。
「ああん。好き……好き……」
 少年の口からはもはや崇拝と肯定以外の言葉はでなかった。魔性の妖怪に身も心も支配されかけていた。
「もっとお姉さんを好きにしてあげるわ、坊や」
 限りなく優しい蕩けるような声だった。
「えええ。今でもこんなに好きなのに。もっとだなんて、僕」
「ふふ。坊やはまだお姉さんの一部分しか見ていないもの……。好きなら全部見せてあげたいわ」
 そう言うとお姉さんは少年を引き離し、足をM字に広く開脚をした。あれほど白かった足はびっしりと目玉がフジツボのように付随していた。しかしそのおぞまし過ぎる光景さえも、今の少年にとっては情欲を煽る一枚の春画に相違なかった。
「はぁぁ……。お姉さんがぁ……動いているぅ……ぱちぱちしててぇ……綺麗……」
「ここはもっと凄いのよ……ほら」
 お姉さんの手が股間へと伸びた。目が多すぎてよくわからない。よく目を凝らして見ると、涙で濡れた割れ目があった。とてもいやらしいと少年は思った。そしてその奥をもっと覗いてみたいと思った。
「見て……」
 両手で割れ目がぐっと開かれる。少年は顔を近づけて食い入るようにしてみた。
「ああっ」
 そこには見たこともないような桃源郷が広がっていた。絶えず淫らな涙を流している目が所狭しと引き締めあっていたのだ。ぎゅうぎゅう詰めの目玉達。この割れ目の中だけだけでいくつの目が存在するのだろう。もっと奥に入ってみたい。ああお姉さん――。
「ふふふっ」
 お姉さんが笑うと、割れ目の中の目玉が一斉にこちらを向いた。
 ざざざざっ。
 にやり。
「んっ――ああっ!」
 少年はその視覚刺激で射精していた。初めての精通は目玉の悪魔により執り行われてしまった。視線の直射は極めて官能的な刺激であった。密集地帯から放たれる淫靡な光線は、少年の脳髄を一網打尽に崩した。
「あんああん! なっなにこれぇ! と、止まらないよぉおお!」
「あらあらもったいないわねー。見ただけで射精しちゃったの……? いえ、見られたからかしらね。ほらここに入れると落ち着くわよ……オマンコ」
 のたうち回りながら射精する少年を、お姉さんが腕をつかんでぐっと引き寄せる。勢いで少年はペニスをすっぽりと魅惑の秘裂に飲み込まれた。ぐちゅりと何かが潰れる音がする。今まで体験したことのない異常な感触が少年を支配した。
「ん、んんん! ああー」
「入っちゃったわね。ここはオマンコよ。言ってみなさい? お、ま、ん、こ。エッチなことをするのに必要な場所よ。坊やはもうここから出れないけどね。うふふ」
「は、はい。オマンコオマンコ……」
 目玉だらけの蜜壷につながれながら、少年は破廉恥な言葉を連呼した。狭苦しい膣内は、小さなつぶつぶの感触がペニス全体をまんべんなくマッサージしていた。それは時に優しかったり激しかったり。至極蠱惑的な愛撫は少年の心を直ぐに虜にした。
「うあぁ、また出ちゃう……」
「いいのよ坊や……ちゅっ」
「はぅん!」
 甘いキスをまぶされるとまた少年は射精した。断続的に刺激を受け続けているペニスは一向に萎える様子はなかった。
「もっと奥までいらっしゃい……」
 お姉さんが背中に手を回して引き寄せる。少年はずずっと膣の奥まで誘いこまれる。さっきよりも一際強い快楽がペニス全体を覆った。奥にぴったりとはまりこんだペニスは逃げ場なくみっちりと埋まっている。その拘束状態の中で目玉らしきつぶつぶが何個か膨らんできているのだ。この変化のある刺激に少年はぐんと背を反らせて悶えた。
「なっ、な……にこれ……」
「ふふっ。目玉のお姉さんの目玉オマンコはどう? すごくいいでしょ? 人間じゃ一生かかっても味わえないものよ。坊やは幸運ねーんーふっふふふふ」
「やぁん、はぁん……ふぅん……」
 少年はあまりの気持ちよさに体をねじって奇妙なあえぎ声を出した。度重なる快楽で頭がどうにかなりそうだった。
「どうしたの女の子みたいな声出して? ほら……大きい目玉がぷっくぷぷーですよ? 悪い子のオチンチンはぱーんしちゃいましょうね?」
「や、やめてぇ!」
 膣内の圧力がぐっと上がった。目玉はどんどん大きさを増していく。恐怖だったのかはわからない。とにかく引き抜こうと思った。
「だ、め」
 見透かしたようにお姉さんが腰を沈めた。みちみちっとペニスが存在する空間が狭くなっていく。
「あ……あああっ。駄目壊れちゃうう!」
「いーよ……壊しちゃう」
「はぁっ!」
 ペニスが潰れると思った瞬間、膣内でばちんと何かが弾けた。連続で寸断なくぷちんぷちんと潰れていく。ペニスが徐々に楽になってくると、後にはドロドロの満たされた快楽の海だけが残った。甘い蜂蜜のような液体が空間を満たしていた。少年はその中でまた射精した。
「う……すごぉ……あ……」
「うふふふふ。お目目ぷちぷちセックスの味はどうだった? お姉さんこんなこともできるのよ? お目目潰れて愛液たっぷり。ああ心配はしなくていいわよ? お姉さんはお目目いくらでも作れるんだから……。ほら、坊やが出してくれたおかげでまたこんなに……」
 ざぶざぶと海のようだった膣内は急に水分を失っていく。そしてまたぶつぶつとした目玉の感触がまとわりついてくる。
「ああ……駄目ぇ」
「駄目じゃないでしょお? これが気持ちよくなったんでしょお? つぶつぶお目目の感触我慢できないんでしょおお?」
「おかしく……おかしくぅ……」
「うふふっ。限界までおかしくなるのよ坊や」
 少年は魔の責め苦を受け続けた。奇妙なことに、少年のペニスは萎えることなく永久機関のように射精し続けた。お姉さんの目の生産も一向に衰えることはなく、かえってその勢いを増していった。
「お目目、お目目、ほらほら、お姉さんも坊やもお目目よほらほらほらほらほら――」
「んふぐあぁふ、ふえぇ、おめえーん、えへへぇええへえ、おめへぇんん……」
 少年の脳は制御できる許容量をとうに越えていた。待つのは自我の崩壊を越えた何かである。
「あらまだ壊れるのは早いわよーん」
 と言ったお姉さんの手には目玉が握られていた。糸のような尻尾がついていて、オタマジャクシのようだと思った。
「これをね……坊やのお尻にぃ。ふふっ」
「あっ……」
 お姉さんは器用に少年の肛門を広げると、そこに大粒の目玉を突っ込んだ。たまらず少年は悶絶する。
「はぁぁっ! いた……やめ……」
「うーん、初めてだから五個ぐらいでいいかしらね」
 そんな少年の恐怖も露しらずに、次々に肛門に目玉がぬるりと埋め込まれていく。
「さーん……よーん……。ふふっ、ほら力抜かないとぉ……入っていかないわよ? ……いつーつ」
「んんんっ! んぁああ……くる……しい……とってよぉお!」
 少年は涙を流して懇願する。しかしその訴えとは真逆に、魔力を帯びた種はずぶずぶと腸内へと侵入していくのだった。
「んっ……んっ……んはぁ……」
 腹部がぐらぐらと蠢く。苦しいような嬉しいような倒錯した感情に全身が包まれる。
「奥まで全部入った? じゃ……生んじゃおうか?」
「え……ええ? な……に?」
「生むのよ。お尻で。目玉の赤ちゃんを。今入れたでしょう?」
 少年には全く意味が理解できなかったが、とてつもなく恐ろしい行為だと肌で感じた。
「うえぇえ……。や、やだぁ……」
「今更何を言っているの? ほらお腹に力入れてみなさい? うーんってね」
「いや、いやだぁあ!」
 暴れる少年の腹部をお姉さんが力任せに押す。少年はぐっと仰け反って悶えた。
「んああああ――っ!」
 腸の中で何かが弾けた。すっと力を抜くと、肛門からどぼどぼと白く濁った液体が下痢便のように迸る。
「あ……あは、あはあは……」
 少年は力なく笑った。笑わずにはいられなかった。
「あーあ。しっぱぁーい。ふふふ。坊やがあんまり暴れるからよーん。……次はちゃんと成功しようね?」
 お姉さんの悪魔の笑顔が少年を包み込んでいた。


 膨大な時間が過ぎ去っていた。禁忌の性行は未だなお続けられていた。少年はもう人としての体を為してはいなかった。肉体は限界を超えて精神を蝕み、別の何かへと変貌していた。
「あんお姉さん。今度はちゃんと生めたぁ……。ほめてぇ?」
「いい子ね。よしよし……」
 二匹の得体の知れない何かがまぐわっていた。決して人間が覗いてはならない空間である。もしその闇を垣間見る機会があるならば、それは自身が引きこまれた時である。
「ん……好き……」
「もっと甘えなさい」
「はい……」
「もっと増やしてあげるわ」
「はい……」
 がちゃりと掛け金が下ろされた。永久の静寂が辺りをゆるやかに満たした。
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